第3章 一面
珊瑚
「なしたの?」
桔梗
「あぁ。お前は包帯してるから見えないか……。この木、光ってる。」
桔梗が木にそっと触れ、木の声を聞き出した。
”私……はも…う…長……く…生き……過ぎ…た………。最……後に……昔…は…ここに………も……いた………ホタ……ル…を………若………者に……”
そう言い残すと、周りの木々達がざわめきたち、強い風が吹く。すると辺りが真っ暗になり、下から緑色の小さな光が無数に浮き出してくる。それは、とても幻想的で感動するぐらいだ。
珊瑚
「…うわぁ、綺麗…この光全部ホタル…?」
桔梗
「これを見せたかったんだな…」
珊瑚
「昔にここにもホタルがこんなにいたんだ……。」
また強い風が吹き、いつもの公園に戻ってしまった。木の願いが叶ったらしい。
珊瑚
「淋しいけど…、お別れだね。」
私は包帯をとり、木に手を当てる。その瞬間に木はどんどん枯れていき、細くなってしまった。
しばらく二人で木を眺めていた……。