第2章 日常
それは、金髪で少しカールがあり、パッチリとした青い瞳に、全身フリルのドレスを着た可愛らしい人形だった。
珊瑚
「可愛い人形ですね。」
女性は、悲しそうに少し微笑みながら
女性
「えぇ。でも、これは祖母が大切にしていた人形なんですが、その祖母も先日無くなってしまって。この人形もまだ綺麗ですし、違う人に大事にしてもらった方が良いんじゃないかと思って…。」
亡くなった人が生前大切にしていた物や、身の回りの物は処分してしまった方がいいとされている。
それは、物に「記憶」が残っている可能性があるからだ。
すると、琥珀はニコッと笑い、
琥珀
「…わかりました。買い取らせて頂きます。」
女性は安堵の笑みを浮かべ、琥珀が取り出した買い取り証明書に名前、住所、電話番号を記入していった。