第1章 宮侑side
侑
「北さんの知り合いですか?」
北
「いや知り合いではないんやけどあの人はたぶん目が見えないんやと思う」
えっ……?
角名
「目が見えない?」
治
「なんでそう思うんです?」
北
「ほらあの人杖ついてるやろ?目が不自由やから杖をついて歩いてるんやと思う」
侑
「……ウロウロしてんのは席を探しているから?」
北
「その可能性が高いな」
俺らは試合より女が気になって仕方なかった。
ウロウロし続けずっと席を探している。
そんな光景が俺の胸に刺さっていた。
女が俺らの席に近づいた。そこで咄嗟に北さんが声をかけようとしたのだろう。席を立ってその女に声をかけようとした時、なぜかはわからないが北さんより先に声が出ていた。
侑
「席………空いてるで」