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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞









冬に立つ霞よ。

お前はどうして春の訪れを願う心をあざ笑うかのように、空気を凍てつかせ、太陽の光を遮るのか。



八重が倒れた騒ぎから少し離れた所で、赤葦は静かに霜の降りた窓から空を見上げた。





「・・・Who'll dig his grave」


誰がコマドリの墓を掘るのか


「I, said the Owl, with my pick and shovel, I'll dig his grave」


それは私、梟が言った
私のピックとシャベルで墓を掘ろう


「俺が・・・墓を掘ろう・・・」


全てを葬り去ろう。

赦されない罪も、
許されない恋も、

全て闇の中に埋めてしまおう。



“貴光様の一人娘・・・白薔薇のごとき令嬢でしょう”

まだ八重と出会う前、彼女のことを黒尾にそう表現したことがあったが、自分の中に魔物が生まれたのかもしれない。

貴光の娘を“白薔薇”に例えたあの瞬間に、全てを壊す魔物が───


「八重様・・・恨むなら木兎貴光様の娘として生まれたことをお恨みください」



墓を掘らなければ。

全てを葬り去らなければ。



「俺が壊します・・・それが“貴方”との約束ですから」



吐瀉物で汚れることも厭わず八重を抱き上げる光太郎を、赤葦は絶望的な瞳で見つめていた。















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