第5章 嫉妬…?
「あのっ、私のことなら、大丈夫だよ?」
気の使えない彼女をキッと睨む。
「まぁまぁ、夏蓮ちゃん。」
「総司!てめぇ!」
そんな私の肩を、そっと総司さんが抱いてくれた。
私から、彼女の姿が見えなくなるように。
兄さまは反論するけれど、総司さんは、にこにこした表情をかえることはなかった。
「夏蓮さんの気持ちもわかりますが、土方くんが忙しいからこそ、小姓が必要だ…とは、考えられませんか?」
「しかしっ…」
山南さんの冷静な対応に、反論なんて出ない。
「じゃあ、この子は土方さんの小姓。そして、夏蓮ちゃんは、僕の女中さん、でどうかな?」
「「「「!!!!????」」」」
「いや、まて、総司。考え直せ。」
「総司、それは彼女に迷惑がかかる。ならば俺の…」
「夏蓮ちゃんの独り占めはダメだぞ総司!」
「そうですね、沖田くん。それは許しがたい発言です。」
兄さまをはじめ、みんな反論を始める。
けど、それなら私にとっては好都合。
「そのご意見、お受けします。」
「なっ!!夏蓮、おまっ!」
兄さまの目なんて見てあげない。
「これから、よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ。いいですよね?近藤さん。」
「あ、あぁ。まぁ、彼女がそれでいいのであれば。」
「はーい。それじゃ、失礼します。」
背に受ける反論をもろともせず、私の手をひいて広間をでていった。