第5章 嫉妬…?
「命を賭けるほどの理由があるんなら、洗いざらい話してみろ。」
少女が話を聞いてくれと訴えた。
その言葉によって兄さまは、話を聞くと言ってくれた。
話の合間には、斬れだとか、男なら腹を括れとか、今まで触れることのなかった言葉が並べられていた。
その空間が恐ろしかったけど、現実だと感じた。
少女の話によると、
江戸より京にきた父が行方不明のため、探しにきた。
ということだった。
「なるほどな。年端もいかねぇ小娘が男に身をやつしていたのはそういう理由か。」
「何…小娘?」
「…お前…女か?」
兄さまが‘小娘’と言ったことで、新八さん、平助さん、そして近藤さんは女の子だと気づいたらしい。
薄々気づいてはいたけど、三人は鈍感だと思う。
「申し遅れました。私、雪村千鶴と申します。」
ゆき…むら…?
少女の名乗りに、私は胸騒ぎがした。
でも、言葉にするわけにもいかず、唇にぐっと力をこめた。