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恋桜

第4章 浅葱色



あれから数ヶ月立ち、季節は冬へと変わっていった。
みんなにも打ち解け、優しい笑顔と温もりに囲まれて過ごしていた。

そして、新選組に新撰組が増えたりもした。
私は下女中の身ではあるが、新選組の一員であるから、しっかり見ておけ、と。
いままで平穏だったのは、皆が守ってくれていたからなんだよね。
一つ一つ、しっかり受け止めていかないと。

その後から、一さんに剣術も学ぶようになった。
必要になるかはわからないけど、自分の身に何かあったときに、守られてばかりではいられないと思ったから。

数ヶ月で、色々なことがあったと、本当に思う。
…今は数時間前に日も落ちて夜になっていた。

私は寝間着の上から、半纏をはおるだけの寒い格好。
そんな格好だけど、なにか胸騒ぎがして、少し開けた襖から、まだ積もらないほどの雪が町を染めようとしている様子を、立ったまま眺めていた。

暫くすると、兄さまの部屋の襖が開く音が聞こえた。

「チッ、逃げ出したか…」

「斬っちゃっていいんですよねー?」

「あぁ、見つけ次第始末する。」

数人の足音が聞こえ、外に出てみると、一さんと総司くんも共にいた。
浅葱色の、新選組を主張する羽織を着て、腰には刀がさしてある。

「兄さま…一さん、総司さん…夜の巡察…ではないですよね…?」

三人とも私を見て驚いた様子を見せていた。
しかし、総司さんは近づいてくると、いつものように明るく微笑んでくれた。

「大丈夫。何も心配しないで。すぐに帰ってくるよ。」

「………っ、行ってらっしゃい。」

心配しない、なんてことはできないけれど、私には笑顔で送り出すことしかできず、三人の背中を見て唇を噛みしめた。

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