第3章 金平糖
土方side
怖い。
そう告げてきた妹を押し返すことはしなかった。
自分の布団へと押し込め仕事をしているうちに夏蓮は寝ちまったらしい。
夏蓮が幼い頃、まだ俺があの家にいた頃は、ずっと俺の後ろをついて回っていた。
姉ではなく、俺を慕い、側にいてくれた。
俺が家を離れるときには、大泣きして大変だった。
が、それも遠い昔の話。
いつの間にか女らしくなって俺のもとにきた夏蓮。
恋心とは違うが、
守ってやりたい。
結局俺を追ってここに来たこいつを。
ただ、こんな男所帯においておくのは不安で仕方ない。
幹部だって、同じだ。
無理矢理に手を出しはしないだろう。
だがそれは、恋心を持つこととはなんの関係もない。
こいつが、夏蓮が、
誰かを慕うようになったとき、
俺はどうなってしまうのか。
しっかり祝うことができるのか。
「………はぁ。」
夏蓮と共に過ごせる喜びと、
先が思いやられると思う疲労感と。
どちらもあることは否めなかった。