第19章 ケイドロの時間
私とひなのサイドーー。
静かだ。でも、わずかに枝が折れた音がする。
私とひなのは目を合わせうなずく。
私は右、ひなのが左に走り抜ける。
磯貝『読まれてたか、カルマ、まぁを頼む!』
カルマ『おっけぇ〜!逃がさないよ〜!まぁ。』
ゲッ…カルマがこっち追ってきてるのか。
カルマの足の速さじゃ追い付かれる…。
なら…。
私は動きを止める。
カルマ『あれ?止まってていいの?逃げないと逮捕しちゃうよぉ?』
『あのままじゃ、確実に追いつかれて体力切れで捕まるからね。捕まらなかったらいいんだから、ギリギリでかわしてタイムオーバーに持ち込むよ!』
カルマ『考えは良いけど、相手俺だよ?そう上手くいくと思う?』
そう言って音もなく背後に回り込む。
だと思ったよ!私は掴まれる瞬間、斜め左に交わす。
カルマ『そうこなくっちゃ!』
ひなのサイドーー。
磯貝君、ってことは、まぁはカルマ君か。
かわいそうに…笑。
磯貝『倉橋、いつからそんなにすばしっこくなったんだよ。』
ひなの『まぁと特訓してるからねぇ〜!』
磯貝『なら、俺も本気だ!』
ひなの『きゃっ!』
一瞬の隙をつかれ、ひなのが掴まってしまう。
磯貝『倉橋、逮捕だ!』
私とカルマサイドーー。
さすがに開始10分で見つかると、体力もたないな。
どうしよ…。距離とって身を隠すしかないかな。
カルマの横を通り過ぎ、茂みに身を隠す。