第4章 おまけ
カラ松のマンションに戻って来た時、驚いたことに自分のアパートに帰った時よりも懐かしい気持ちがした。
座り慣れたソファに腰掛けると、その上品な柔らかさが全身を包んでくれて、疲れた身体を優しく癒してくれた。
思えば、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、私が一番共に時間を過ごしたのは、このソファじゃないか!
そう思ったら、ちょっとカラ松に対して腹が立ってきた。
「カラ松さん、一週間何をしていたんですか?」
もっと早く迎えに来て欲しかった、と文句を言おうとした時、視界いっぱいに白と茶色が広がる。
「すまない。これを作っていたら、時間がかかってしまったんだ」
目の前に差し出された物から顔を離して、まじまじと見てみると、何とそれは紙を折って作られたバラの花束だった。 その花の一つ一つには、はっきりと「婚姻届」と印刷されている。花びらのところにその文字が来るように計算されて折られているのだ。
どれだけ器用なのこの人は。と、その驚きのまま声を上げた。
「まさかこれ・・・、全部婚姻届の紙ですかっ?!」
「ビンゴォ~!」