第6章 素直なキモチ
練習終わり。
更衣室の扉が控えめにノックされて。
及「あれ?どうしたの?」
春華「みなさんの分のチョコレートです。
全員分あるので、良ければ食べてください」
とだけ言って、紙袋を渡し出ていく春華。
受け取った紙袋を部員で回しながら。
及「なんか、春華ちゃん今日変だったよね」
渡「俺も思いました。ボールだし、よくネットにかかってましたよね」
矢「……誰かに渡して振られたんじゃないですか」
花「こら!矢巾はすぐそういうこと言う!」
松「まぁ、日にちが日にちだからなぁ…」
ロッカールームでは各々の予想が広がっていく。
及「あ、今日春華ちゃん当番まっつんじゃん!聞いてみてよっ!」
松「もしほんとにそうなら傷口抉るだろ」
花「いーじゃん。俺ならその流れて食べちゃうケドね」
矢「花巻さんもなかなかじゃないですか……」
溝「お前ら鍵閉めるから早く出てこい!」
扉の向こうからコーチ、監督からのお呼び出しがかかる。
お疲れ様でしたー、と出ていくメンバー達。
金「…国見?行くぞ?」
国「金田一ごめん、今日も一人で帰って。
俺、ちょっと寄るとこあるから」
スタスタとまた荷物を取って歩いていく後ろ姿に小さくまた溜息。
後ろ姿を見つつ、もしかしたらもう一緒に帰ることはなさそうだ
となんとなく思いつつ先輩達に混じって
金田一もロッカールームから出た。