第4章 憧れの先輩。
部活が終わって、片付け中だった。
渡せないまま、終わっちゃうのかなぁ…
私は、後ろ側の体育倉庫へとボールを片付けに行った。
潔子先輩はステージ前で澤村先輩とお話し中。
部長とマネージャーはよく一緒にいる。
あぁ、遠いなぁ。
ここからステージも。
先輩への道のりも。
潔子先輩は本当に素敵な先輩なんだ。
優しくて、強くて、綺麗で。
憧れなんだ。あんな風になりたい。
潔子先輩みたいになって、みんなにも頼られるマネージャーになりたい。
渡せないかも。
そんな思いで涙が溢れそうになるけど…
なりたいんだ。強い潔子先輩みたいに。
だから…、
「潔子先ぱぁぁぁあああい!」
力一杯叫んだ。
こんなに大きな声出さなくてもいいかもしれないけど、
届かないところに潔子先輩がいる気がして。
「わたし、潔子先輩みたいになりたいですー…!!いつも、いつもありがとうございます!義理チョコですけど、受け取ってくださぁぁああい!」
怖くて怖くて、震えてる。
同性とはいえ憧れの、大好きな先輩だから。
でも、涙をこぼさないようにそっと前を向くと、
涙越しに、こくりと頷く先輩が見えた。
ちょっと涙もこぼれちゃったけど、満面の笑みで走って潔子先輩にチョコレートをお届けした。