【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス
第4章 エピローグ
『オフだからって、お菓子食べ過ぎてない?僕、今度修学旅行に出かけるんだよ。北海道、楽しみ!』
『ユリのサルコウって、昔と跳び方変わったよね。でも、今の君の体格にはとても合ってると思う。高さもあってカッコイイし』
『この間、ロシアでローカル化粧品のモデルやったでしょ。何で知ってるかって?エスポーの友達に頼んで画像とポスター送って貰ったから。僕の部屋に飾ってあるよ♪』
『今、新たな4回転を練習中。まだ実践には程遠いけど、怪我に気を付けて頑張るから』
何気ない会話だが、ネット越しに礼之の笑顔を目にすると、ユーリもつられて口元が綻ぶのを覚えた。
たまに、意見の食い違いや意地の張り合いからぶつかる事もあるが、それすら今のユーリには何処か心地良い。
そして、必ず通話を終える時の言葉。
『僕の大切なユリ。愛してるよ』
トレードマークの青い瞳を細めながら、礼之は別れたあの日と変わらない正直な想いを告げてくる。
それは、対照的に中々素直になれないユーリにとっては有難く、だが同時にいつまでも言われっ放しではいられないという、妙な対抗意識のようなものにも駆られていた。
(お前だけじゃない。俺も…)
何とかアイツを驚かすような事はできないかと考えていたある日、ピーテル郊外にダーチャを所有する親戚から「ユーリも成人したから」と、彼らの留守中自由に使用して良いと連絡が来た。
貴重なオフをのんびり過ごすのは悪くないので、有難く厚意に甘えさせて貰う事にしたユーリは、礼之がエスポーに来ているのをSNSで確認すると、「お前も一緒にどうだ?」という体で誘った。
嘘は吐いていないが、先に本当の事を言ったら礼之が尻込みしてしまうかも知れない、と考えたからだ。
しかし、ユーリは自分の想いを止める事は出来なかった。
離れていた分、彼と一緒にいたい。
あの時最後まで行き着けなかった事を、今度こそ果たしたい。
礼之とひとつになりたい。
自分の全てを曝け出し、彼の熱く巨大な楔にこじ開けられて貫かれる恐怖よりも、恋人との深い繋がりへの期待と興奮の方が、今のユーリの中では上回っていたのである。
(引いてないよな?礼之、お前は俺が欲しいよな…?)
スマホを握り締めていたユーリは、手の中でポン、と鳴ったメッセージ着信音に少しだけ驚く。