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【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス

第2章 Tokyo's Night


「ホテルの地下にコンビニがあるから、僕買い物してくるね」
再びコートを羽織った礼之がドアに向かうのを見て、ユーリは「ちょっと待て」と後を追った。
「持ってけ。カードがないと、このフロアにも戻って来れねぇぞ」
「ここにキーカードがあるって事は、今部屋の電源どうしてるの?」
本来は、ホテルのキーカードを部屋入口のスロットに挿入する事で、電源が点く。
1人で泊まっていたユーリが、キーカードを2枚持っている筈はないのだが、
「さっきお前がサユリと電話してる間に、別の適当なカードで試してみたら大丈夫だったから。反則技だけどな」
部屋番号間違えんなよ、とキーカードを礼之に預けたユーリは、僅かに頬を染めたまま踵を返すと、部屋奥に位置するメインバスルームに向かった。
そんなユーリの背中を一瞥すると、礼之も逸る心を抑えつつ部屋を出た。

極力人目のつかない所を歩きながら、しかし礼之はあえて堂々とした態度でホテルの地下へと移動する。
何事もなくコンビニに到着すると、下着の替えやアメニティその他に紛れて、コンドームの箱とローションのボトルをさり気ない仕草で手に取ると、買い物カゴに放り込んだ。
普段はコンプレックスでしかない自分の容姿が、こういう時だけは本当に役に立つ、と礼之は内心で安堵する。
別段咎められる事もなく会計を済ませ店員から商品を受け取った礼之は、いつも以上に良い英語の発音で返すと、ユーリの待つ部屋へと戻った。

熱い湯を全身に浴びながら、ユーリは先程の礼之の愛撫を思い出すと、更に頬を紅潮させ湿った息を吐いた。
いつかのバンケットの夜以上に積極的に迫ってきた礼之の本気は、ユーリの五感をこれでもかと刺激してきたのだ。
「ホントにアイツ、俺が初めての相手なのかよ…それとも初めてはキスだけで、セックスはどっかの誰かと…?」
刹那、「僕が好きなのはユリなんだよ!」と憤慨する礼之の姿が頭に浮かんできた。
都合の良い妄想に失笑したユーリは、やがて何かを決したように浴室を出ると、バスタオルを腰に巻いた状態で暫しクローゼットのバスローブとチェスト内の着替えを見比べていたが、
「…俺にジジイの真似は無理だ」
魂の底から呟くと、後者の着替えに手を伸ばした。
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