第14章 -衝撃
「…そんな興奮した状態じゃ、セレネに会わせられない。」
「っ…。どういうことだよっ!」
ルイは、ジッとアランをまっすぐ見た。
とても真剣な瞳だ ルイの瞳を見て アランは、黙った…
「ルイ、セレネちゃんは?」
「…気を失って、寝てる。…なぜ彼女は、お城から一人で?…」
ジルは、一瞬眉を寄せると 今まであった事を 話だした。
「…それで、セレネは、飛び出したんだね。」
「ハワード卿…セレネに何があったのですか?」
矢継ぎ早に質問を投げかけられ 大きく一息つくと
ルイは、自分が見た事 あの時あった事を そのまま伝えた。
アランもレオも目を見開き ジルは、苦痛で眉を歪ませていた。
何故、ルイに制されたのか これで理解した。
「 あの男に重い処罰は、下せるんだよね?…」
「ええ、プリンセスに手を出したのですから…軽くは、ならないでしょう…。」
「ルイ…セレネちゃんに会うことは、出来ないの?」
少し考えてから ゆっくり口を開いた
「…約束して。無理強いさせないって、大声も出さないで…」
三人の頷きを確認して 部屋に連れていった。
そっと ドアを開け 部屋に入り 三人を入れると 付き添っていた メイドを出した。
四人がセレネを取り囲むように 立つと。
三人とも同じように息を呑むのがわかった。
アランとジルは、耐えられなかったのか 顔を背けた。
手首の包帯、赤くなった目尻 滲む涙 殴られ腫れた頬。
血の気が無い顔色。
レオがしゃがむとそっとセレネの手を取り 自分の額に当て 呟いた。
「セレネちゃんごめん…守るって約束したのに、二度も守れなかった…」
ピクリッと指先が動いたのを感じ 弾かれたようにレオが顔を上げると 全員がセレネを見つめる。
ふるふると震える睫毛。
ゆっくりゆっくり 瞬きをしながら うっすら目を開ける。
一息吐くと
「…お、にぃちゃま…?」
レオを見ているのだろうか、焦点も定まらず ぼんやりと呟いた。
何度も瞬きをし 生気のない突如 瞳が紅く変わった。
「ヒィ…いやぁぁァっ!!!!」
悲痛な悲鳴のような叫び声。ベッドを飛び降り ジルを押し退け 駆け出すセレネ。