第12章 -真実
この事を知っているのは、ゼノ、アル、マリアと自分の四人。
あの 亡くなった女性と…後は、セレネの元の家族だろう事は、すぐに分かっていた。
亡くなる直前に胸にしまっていたことを 託してくれたくらいた。
しかも セレネの事を『様』と呼んでいた。
自分達の前に現れた時期、聞いた特徴、起きた事件…紅くなる瞳…全てが合致する。
そこまで話し終えたあと 重い溜息を漏らしジルが言った。
「…シュタインにも早馬を走らせましょう。セレネは、ゼノ様にも心を開いていましたから。自国の事ながらセレネの身の安全が最優先です…。」
「……。ジル様…その必要はありません。セレネ様は、シュタインには、絶対に行かない…。」
「…ユーリ、それ どういう事?…」
ここまで聞いたなら 話さなければならないだろう。
セレネは、シュタインに行く事は、絶対にない。と言いきれる。
記憶を無くしたセレネは、ゼノを兄と思って慕っていたのだから。その 兄が『兄では無かった』のだ。
レオとアランが兄だと知って混乱して出ていった…兄だと思っていた人が兄では無かったのだ…セレネの性格上行くわけが無い…
「…俺も話さなきゃならないことがあります…」
ユーリは、話だした。 セレネとの出会い。亡くなった女性の事。セレネが今までどこにいたのか。自分が何者なのか。セレネがゼノを兄と思って育ってきた事を…。
ジルは、立ったまま 腕を組み じっとユーリの話を聞いていた。
レオも時々、ユーリに質問しながら セレネの話を聞いていた。
「…なるほど…ゼノ様の…全て合致しましたね…。」
「ふぅ…シュタイン国王のお城か…見つからないわけだ…。」
「…俺、シュタインに向かいます。ゼノ様もすぐ動いてくださると思うし 知る必要がある…それに広めるべきじゃないから…」
「ユーリ。セレネは、こちらで必ず見つけます。貴方は、シュタインへ…」
ジルの目をみて 深くしっかりと頷き 部屋を後にすると 走り出した。
「…では、レオ。我々は、我々のプリンセスを…」
「ああ、俺の妹を…」
「レオとアラン殿の…ですよね?」
今度は、二人が顔を見合わせ 口元に笑みを浮かべると 深く頷いた。