第9章 -久々の休み
……パタパタパタパタ
コンコンコンッ
「クスッ…どうぞ。」
「フゥ…レオ 遅くなってごめんなさい!」
「いいよ。パーティーもう時期でしょ?随分忙しいみたいだね?」
「…少しだけ…。でも、頑張らなきゃ。ここで気を抜いたら集中力切れちゃうもの。」
あれから 休む暇などない忙しさで お部屋には、寝に戻るような生活をずっとしていた。
プリンセスが廊下を走ったらダメなんてことは、よーーーく!分かっているんだけれど 就任したばかりの私には、覚える事が山ほどあり過ぎてしまって ここの所こんなことが続いていた。
こうなってみて初めて分かった お兄様の凄さ。
私の甘ちゃん具合に呆れるくらいだ。こんなにも忙しかったのに私の事まで気遣ってくれていた…。考え事をしていた私を不思議そうに見ると
「セレネちゃん?座って…」
レオが椅子を引いて 座るように促すために 手を取った。
「レオ ありがとう」
顔を見あげニッコリ笑って お礼をいえば 眼鏡をかけたレオの眉間に皺がよっていて 少し驚き 首を傾げ じっと眼鏡の奥にある 紅い瞳を見た。
「……?どうしたの?」
「……セレネちゃん 体調どう?」
「ドキッ…っ。大丈夫だよ。」
心臓がドキリとした。思わず 目線を逸らし 目線を手元に向けた。 昨日からちょっと変だなって思っていて 今朝になったら ゾワゾワしてるのに変にフワフワして 真っ直ぐなレオの瞳に見透かされてしまう気がした。
お披露目パーティーまで日もないのにここで休むわけには行かない。 今日は、早く休めばきっと大丈夫。
「…ほんと?」
「うん 大丈夫だよ!心配してくれてありがとうレオ。」
口角を上げてにっこり笑って 答えた。
心配させられないもの。 自分で決めてプリンセスになったのだから 泣き言なんて言ってられないもの。
心配そうな視線を私に送りながらも レオは、座学を始めてくれた。
(…っ……。頭がボーッとする…。もう少しだから頑張らなきゃ。)
さっきから 右目の視界がぼやけている。
それでも レオについて行こうと必死で ノートに書き写し 何とか 終わらせた。
(…何とか、乗り切った…かな。)
「レオ、今日もありがとうございました。」