第8章 -ダンスレッスン
昨日は、随分と疲れていたのか 夕食後 湯浴みをして ベッドに入ったら夢の入口がすぐだった。
(色々なことがあったもんな…お夕食一人は、やっぱり寂しかったけど 自分で決めたんだから慣れなくちゃ…)
朝の木漏れ日を浴びながら ユーリより先に起きて 朝の支度をした。
クローゼットの場所は、聞いてあったし ドレスも選んで コルセットも何とか着けて ドレッサーに座り髪を梳き 格好をチェックして部屋を出た。
向かった先は、中庭。
朝露が光るお花を見るのが好きで シュタインでも時々していた事だった。
やはり 国が違えば 咲いてる花も違う。
昨日 中庭を見た時 「朝に見たい」と思っていた。
でも、見れると思ってなかったし 次の日もここにいるとも思ってなかった。起きた時に思い出して 来てみたのだった。
(やっぱり 朝一番のお花がいちばんきれいだなぁ…あ、咲きはじめたばかりかな?)
綻び始めた お花を見つけ しゃがんで膝に頬杖をつき観察していた。
朝の柔らかい風がそよそよ吹いて ふわふわ髪が靡き 頬を擽るのを感じ 瞼を閉じて 朝日や風、緑の心地さを堪能していた。
「何してんの?」
頭の上から声がして 見上げると 鎧武姿のアランが セレネの前の花壇を、覗き込んでた。
「アラン。 おはよう」
「朝早いんだな」
「うん!早くに目が覚めて 昨日 中庭で見たお花 朝に見たいって思ったの思い出して来てみたの。」
「へえ…花好きなんだ?」
「ふふっ 季節ごと色んな顔を見せてくれるでしょ?朝と夜でも違って見えるし…好きなんだ。」
そう言い 立ち上がって後ろで手を組み歩き出すと アランもついてきて二人 横に並んで色とりどりのお花を眺めながら歩いた。
「アランは、こんな早くにどうしたの?」
「ん?俺は、稽古」
「あ、それで 鎧武姿だったのね」
「…そ」
言い方は、素っ気ないけれど とても柔らかい目をしてセレネを見ていた。そんな顔につられて笑顔になる。
「今日から ダンスレッスンだっけ?」
「うん!」
「出来そうなのか?」
「基本くらいだけど、大丈夫だと思う。」
「時間あれば見に行くよ…警護兼ねて。」
ちょっとびっくりしたけど 気にかけてくれているのが擽ったくて ふふっと笑い緊張するけど頑張ると伝えた。