第18章 -答え
「ごめん。…俺の気持ち、一方的に押し付けて…苦しめちゃったね…。」
目に涙が滲んで視界がぼやけたが
胸の前で手をギュッと握り ふるふると顔を横にふった。
ルイは、セレネをじっとみながら ふっと笑らいそっと頬に手を添えると目尻からこぼれる涙を親指で拭いってくれた。
「セレネが俺を見てくれたらって思った。…何も感じないこの世界が君の存在で色づいたんだ。君は、眩しくて愛しくて…いつでも一生懸命で…何でそんなに頑張れるのか不思議だった。
昔からセレネは、俺にとって特別で…あの時壊れそうな君を俺が守れたらって思っていた。
……でも、その役目は、俺じゃなかった。」
「ル…イ…ごめ、なさい…」
「謝らないで…セレネは、何も悪くない。君の心には、いつだってゼノがいた。それを俺が…」
「ちっ、違う…の…ルイが居てくれたから…
だから、私…ここまで…立ち直れた…でも…で、も…」
ボロボロ涙が零れて言葉がうまく出てこなかった。
そんな事も全部わかってるかのようにルイは、切なくも優しく微笑んだ。
「…その言葉だけで…充分。」
ボロボロ溢れる涙を抑えることが出来なくて…子供のように涙を流す そんなにセレネをルイは、落ち着くまでずっと頭を撫でていた。
ルイは、気がついていた。
お披露目パーティーでセレネのゼノを見る目が違っていたことも
ゼノもまた セレネを愛しい者を見る目で見ていたことを…
セレネが襲われ気を失った時でさえ 譫言(うわごと)のようにゼノの名前を呟いていたの。
それでも 本人がまだ自覚しておらず 自分の元に居てくれる今なら
心変わりをしてくれるではないかと
抱いてしまったのは、突発的であったものの
身体で縛れるなら…そんな気持ちが少しでもあったのだ。
けれど 宮廷に戻ったセレネの言葉を聞いて
ルイの中で既に決心がついていた。
セレネは、自分に気持ちを向けることは無いと…心は、いつもゼノの元にあるのだと…
セレネは、常にルイに謝罪の言葉を口にしていた。
本人は、無自覚だったのだろうが ルイにとっては、決定打だった。
牽制をかけるつもりでジルに『好きな人』
とも言ったが あの時 セレネは、つらそうな顔をしていた。