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【イケメン王宮】花冠

第3章 -ウィスタリア








セレネは、希にマリアとふらりと買い物に出かけることがあった。
年頃の女の子だ 自分の目で見て確かめながら買うことが楽しかったのもあった
料理に使う食材を見に行くこともあった。
同時に城下を訪れることで視察も兼ねて…というのは、ちょっと言い訳かも。




この日も そんな気持ちとなんら変わりはなかった。
ゼノとアルは、外交だと数日前から出かけており数日間帰ってこないとのこと。
ユーリもしばらく用事があると出て行ったきり帰らないのだ。



(こんなに暇なのも珍しいなぁ…)



手持ち無沙汰で何となく少し遠出をしようと
ウィスタリアの城下まで足を伸ばした。
いつもの格好では目立ってしまうため かなりシンプルなものに変え城内ならともかく肩を出すのも変なのでレースのショールを羽織 胸元で綺麗にまとめるとラピスラズリを施したピンで留め マリアと出かけていた。
マリアも買いたいものがあるのか お互い時間を決め 別行動することになった。



(あ、これ可愛い! んーでも、こっちも素敵…どうしようかな……)



可愛らしい小物に目を奪われ 真剣に悩んでいるその姿を じっと見つめる人物に気がつくことも無かったくらいに…



この日 ウィスタリアは、少しだけいつもより賑やかだった。
年頃の娘達が綺麗に着飾り ソワソワしているのだ。
気がついてはいたものの その迄気にする事はなく 真剣に目の前の髪留めとにらめっこしていたのだ。



(やっぱりこっちかな?髪の色に合わせても使いやすいかもしれないな)


ようやく決め 顔を上げると…


「あなたの髪の色によくに合いそうですね」


そういい話しかけてきたとても綺麗な姿勢の男性と目が合った。
美しい顔立ち 洋服の着こなしも優雅で 兄ゼノとはまた違う美しさを持った人だった。


「…あ、ありがとうございます」


突然話しかけられたことに驚きつつ似合うと言われたことが嬉しく微笑み軽く会釈をし会計を済ませ 別のお店に行こうとするも
外には、先程の男性…



「貴女もお城に行くのですか?」と聞かれた。


(お城?…私の事知っているのかしら…何処かでお会いしたのかしら?)

記憶を辿るも 思いつくはずもなく【お城】の単語に勝手にシュタインだと思い込んで居たのもあり「ええ、そうです」と答えてしまった。
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