第7章 hands
「落ち着いた?」
「うん…ありがとう…」
泣きじゃくる俺を優しく支えながらソファに座らせてくれた翔くん
「これでも、飲んで……」
すぐにホットコーヒーを差し出してくれてマグカップを受け取る
「…うん…」
ゆっくり飲むとさらに気持ちが落ち着いてきた
カップを持ったまま何も言わない俺に優しく触れてくれる翔くんの手
同じ手なのに…全然違う……
カップをテーブルに置いて触れられた手に自分のものを重ねて目線を上げるとまっすぐ俺を見つめる目と重なり合う
「何があったの…?」
優しく、問いかけるように訊ねられた
「じ、実は…」
大きな仕事が終わって翔くんに逢えるとウキウキしてたこと
翔くんちにマネージャーに送ってもらうことに気が引けて電車で帰ったこと
その電車内であった忌まわしき痴漢を告白した
話し終えると全身で抱きしめられる
「翔……くん…?」
「………ごめん…」
「な、んで…翔くんが謝るの…?」
俺を抱きしめる腕の力がだんだん強くなってくる