第6章 渇いた心を潤して…
なんとか次の現場の入り時間ギリギリに入れた俺は、そこからがむしゃらに仕事をこなした
映画の撮影、その合間に雑誌インタビュー、ドラマ番宣用のコメント撮影諸々……
今日1日のスケジュールが終わったのは深夜2時になった頃だった
待ってるって言ってたけど、さすがに寝てるだろうな…
近くにある自販機でジュースを買ってひと息つくとマネージャーがこちらに走ってくるのが見えた
「松本さん、お疲れ様です!このあとの予定なんですけど…」
あぁ、このあとのスケジュールも確かハードだったよな…
もしかしたらもう、今日も帰れないかも…
「撮影予定だった現場なんですけど、台風が近付いているらしくって、撮影来週に延期するそうです」
「えっ、マジで!?」
思わず大きな声で反応してしまった
撮影延期、ってことは……
「え、じゃあこのあとの俺のスケジュールって…」
手帳をめくりながらマネージャーが答えた
「夕方からの番組収録まではオフってことになりますね」
急に降って湧いた時間
俺の心は年甲斐もなく弾んだ
「わかった!じゃ、俺帰るからまた明日!」
持っていたジュースを飲み干し、ゴミ箱へ放り込むと慌てて家へと向かった