第6章 渇いた心を潤して…
収録後、楽屋でメンバー達と着替えているとコンコン、とノックされる音
「はい、どうぞー?」
翔さんが返事をすると開かれた扉
そこからマネージャーが慌てた様子で声を掛けてきた
「松本さん、すみません急いでください!」
「あ、悪い…すぐ行くっ!」
慌てて身なりを整え荷物を持ち、外に足を向けた
「潤、今忙しくて大変だろうけど、頑張れっ」
「明日、なんかあまーいもの買ってくるからそれまでファイト〜!」
「体壊さないようにね〜」
メンバーが次々に声を掛けてくれる
「ありがとっ!」
智に顔を向けると何か言いたそうな表情
「さと…」
いきなり近づいてきて胸に飛び込んできた
ぎゅうっと力いっぱい抱きしめてくる
「…早く仕事終わらせて……家帰ってこいよ…待ってるから……」
俺に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言われるとすぐに離れていった
智も、寂しいと思ってくれているのか…
恥ずかしさからか、俺から離れた智はこちらに背中を向けたまま着替えたりしている
なるべく早く帰るから…待ってて
心の中でそう返事した
「あ、あの…松本さん?」
「あ、ごめん!みんな!いってきます!」
「いってらっしゃ〜いっ」
慌てて車で次の現場へと向かった