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台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第28章 秋の夜長に春ひとつ



白い逆光の中

目を凝らすように見つめると
肩に埋められてた男の顔が
ゆっくりと上がって
露になった男の顔

はっきりとした顔立ち

濃いめの眉毛

あれ?あの人……

ブラウン管越しに
見たことがある顔……

大野さんのアシスタントで
よく隣にいた…

「潤…離して…?」

そう、だ。
確か松本潤て人…

大野さんの柔らかな口調に
背中に絡めてた手は
両腕へと移動して

声を掛けるのもためらうほど
互いを見つめ合う2人の
ただならぬ雰囲気…

覗き見に後ろめたさを感じながらも
気になって目が…離せない

「なんで…俺の前から姿を消したの…?」
「……」
「ねぇ、なんで…?」


「俺!ずっと探してたんだよ!?
 智のこと……!」

悲鳴にも聞こえる怒号

強くなっていく指先の力

潤んだ大きな瞳

その見つめる先の表情は
ここからじゃわからない

けど、ただならぬ雰囲気、に
当てはまる言葉はうっすらと
伝わってくる

「…帰ろう?俺たちの店へ」
「もうあそこは、潤の店だって…」
「なんでだよ!?俺たちの店だろ!?
 2人でやってきた、大切な…!」

がくがくと大きく揺さぶられる体

正面しか見ていなかった顔がこちらに
ゆっくり傾いて

見えた表情は、
苦悶に満ちていた


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