第28章 秋の夜長に春ひとつ
「僕こんな脚でしょ?
通うの大変だからさ…
ここで寝泊まりしても、いい?」
…まさかの言葉に強張った体の力が抜けた
「そ…んなので…いいんすか…?」
「…?うん」
「か、金よこせ、とか…
言われるのかと…思いました…」
首を傾げ見つめる彼に
本音をぽつり、と漏らすと
軽く、くすくす微笑んで
綺麗に澄んだ瞳が見上げてくる
「…君の熱意に応えたいだけだから、
そんなのいらないよ」
「あ、ありがとうございます…」
「…あ!」
「えっ!?」
急な大声にまた体が強張る
「じゃあもう1つだけ…
我が儘…いいかな?」
なに言われるんだろうと思いながら
静かに頷いた
「その…ね」
「…はい」
「………に……………て…」
「…はい…?」
なぜか俯いて言うから聞こえなくて
聞き返した声が少し裏返った
よく見ると耳まで真っ赤にしてる
なんなんだろうな…
この人やけに可愛い……
…
か、可愛い…?
いやいや、俺何思ってんだよ…💧
この人男だし、俺も男だしっ!
それにさっきやっと正体知ったばっかなのに…
「一緒に、いて……?」
わけわかんない感情に戸惑ってたら
聞こえたまさかの言葉に
さらに頭の中がぐるぐるしだした