第4章 嫉妬と好物と幸福と
「さぁ!食べてみて!」
ダイニングテーブルに置かれたデミグラスソースたっぷりのハンバーグ
ゆっくりナイフを入れると
「や、やわらかっ…」
家庭のハンバーグにはないほどの柔らかさでスッとナイフを引きハンバーグを割ると中から溢れる肉汁
かなり美味そうですぐに口に運ぶ
「ね、ね!どう!?美味い??」
なにこれ、うまっ…
肉そのものも美味いけどソースが半端なく美味い…!
「美味しく、ない…?」
なにも言わない俺の顔を不安げに覗き込む智
「いや、すごく美味いよ…」
「まじ!?やった!松潤にお礼言わなきゃ!」
その一言で俺の気持ちはまた黒いもので一瞬にして染まっていく
「智ぃ〜っ!」
「……へ?」
「このタイミングで他の男の名前を出すなっ!」
俺の言葉に喜んで軽く飛び跳ねていた智が固まる
「え、と…確かにオトコだけど…松潤はメンバーで仲間……」
「それでも!いやなの!」
言い終える前に食い気味でそう言い放つとだんだん智の顔が緩んでいく
「ぷっ…ぶふっ…わか、った…」
口元を隠しながら笑い出した
「なんで笑うんだよっ!?」
「だ、って…かずの……情けない顔が…っ、ぶふっ…あはははっ…」
「お前〜っ!笑うなって!」
「や、無理っ…あは、あははははっ…」
ついには腹を抱えて笑い出した