第26章 Rush around
「ちょ、っと!恥ずかしいって…」
力強く歩く潤に引っ張られながら周りを見回す
千鳥足のサラリーマンや
同伴出勤のホステスさんのような人を連れてる
羽振りの良さそうな初老の男性たちの
横を通り過ぎていく
視線は合わないものの
見られてる感じはものすごく感じて
「潤っ…は、離して…」
「…やだね」
照れやら恥ずかしさやら…
複雑な感情を感じる俺とは逆に
潤は周りの視線に興味1つ示さないまま
大通りに差し掛かって
車道をせわしなく
走り抜けていく車に向かい、
手を挙げた
「…止まんねぇな……」
週末の深夜…
空車が少ない時間帯でもあるし、
一向に止まる気配もない
通り過ぎていく車の
ヘッドライトの光が
苛立ち出した潤の顔を
浮かび上がらせる
タクシー止めて、どこいくつもりだ…?
「…どこ、行く気だよ?」
「ディズニー」
「…は?」
「だから、ディズニー!」
握りしめられたままの手に力が込められて
「お前の!初デートディズニーだったろ!?
最初っから思い出作るんだから、
まずはディズニーでデートだろっ?」