第26章 Rush around
ふいっと反対側に首を回した潤
わずかに見える耳は真っ赤で
「ふ、ふふっ」
「……なんだよっ」
「わりぃ…すっげ、可愛いなと…」
込み上げる嬉しさが連れてくる笑みが止まらない
「可愛いのは、お前だろっ」
「いや、お前だって…」
肩を掴んでこちらを向かせて
「こんな時間にディズニーやってるわけねぇのに、
今から行こうとしてんだもんよ…
可愛いだろ?」
時計を見るなりまた赤みが増してゆく濃い顔
「ディズニーはまた今度な?」
「わかった、じゃあ…」
やっと目の前に止まったタクシーに乗り込む
「まずは他の思い出から、だな」
ぼそっとそう言って、
行き先として潤の自宅が指定された
「な、なんでお前んちなんだよ?」
「今日はベッドの中でたくさんの思い出作ってやるよ♡」
さっきまでの照れ潤はどこへやら
不敵な笑みを浮かべて耳元で囁かれて
「もうベッドではたくさん貰ったってぇのっ」
「あれだけで済むわけねーじゃん?
まだ見たことない翔を見せてもらうからな?」
こそこそ、やりとりしてる俺たちを不思議そうに見つめる運転手さんに軽く会釈してやり過ごす
「ふふ…♪これから楽しみ♡」
無邪気に笑うお前怖いよ…
ま、これからは友人以外の付き合いしてくんだからな…
俺も、お前の知らない顔見ていけるのは楽しみ…かも
「俺も、楽しみにしてるよ」
「そうかそうか♡じゃあ今夜は頑張らねぇとな♡」
むぎゅぎゅっと握ったままの手を握られて
「そっちじゃねぇえ〜っ!」
俺の叫び声が響く中、やり過ごしたはずの運転手さんがまた顔をしかめたのは言うまでもないだろう…
- end -
あとがきはまた後日書きます💦