第26章 Rush around
フィルター間近になった煙草を取り上げて
揉み消すと新たな一本に火をつけた
「もう…今日はどうしたの?
ずっと、上の空…」
「…んなこと、ねぇって」
煙草を燻らす俺のシーツを剥ぎ取って
向かい合わせに俺に跨る
「初めてセックスした時みたいにさ…
今日はもう、求めてくれないの…?」
あの時は、勝利を確信してて
翔がようやく俺の手の中に納まるかも、なんて
浮かれてたんだよ…
智と2人開催の男子会で引っ掛けたこいつは
そんなこと、知りもしねぇだろうけど
「ねぇ、俺もっと欲しいんだけど?」
焦れた手が
煙草を取り上げ揉み消した
「優しくしてやれねーと思うけど?
それでも、いい…?」
苛立ちと切なさと。
負の感情しか存在しない心の状態で
優しく抱くなんて出来ない
「初めての時も、激しかった…ん、んぅ、ふっ…」
くすくす、よく笑う唇をすぐさま塞いで
華奢な体をシーツに押し付ける
もう…翔の体すら愛させてもらえないなら
目の前のこいつで満たしてやる…
伸びてきた長い指がオレを捉えると
早く欲しいと言わんばかりに
上下にオレのを攻め立ててくるから
両足を抱えてヒクつく蕾に
猛ったオレを押し付けて
「あ、ちょ…いきな、りっ?」
「まだ柔らかいだろ…っ?」
「んぁ、ぁあ、あ……っ!」
最奥まで一気に突き立てた
「っ、ぁあ…じゅ、ん…も、らめ…っ」
「っふ、…雅紀…イけよ、おらっ」
名前を呼ぶだけでオレをきつく締め上げる中を
何度も何度も、雅紀が意識を手放すまで貫いた
サイドテーブルに放置されたスマホが
光を放ったことも気付かないまま…