第4章 嫉妬と好物と幸福と
自宅に着くまでに何回かコール音を鳴らすも出ない俺の恋人
「なんなんだよ、アイツっ…」
少し苛立ちながら解錠して玄関の扉を開けるとそこにはなぜか智の靴が並んでいた
「え?智……いんの?」
「あ、おかえり〜かず♪」
俺の苛立ちをよそに、なぜかニコニコ顔で駆け寄ってくる
「なんで先帰ったの?」
「あ、と…それは…うん、ちょっと用事あったし、かずいつ戻るか分かんなかったから……だよ?」
笑っていた表情が一瞬にして強張って指先を弄りながらしどろもどろ言い訳する
その様にさらに募る苛立ち
「俺何回も電話鳴らしたんだけど?」
「あ、そ、そうなの?ごめん…気づかなくて……」
顔をよく見るとヒクつく智の鼻
その様子から何か隠しているのははっきりとわかった
「本当に?本当に気づかなかったの?」
俺の中のモヤモヤした黒い感情が膨らんでいく
「…へ?」
「気づいてたけど出なかったんじゃねーの?いや、それか……出られなかった、とか…?」
俺の言葉に押し黙って俯く
その反応にもう感情を抑えるのは限界だった
「お前っ…俺に何隠してんだよ!?」
肩を掴んで体ごと壁に押し付けた