第25章 ♡のQueenは♢もお好き
「やっぱり、さとぼ~…
ボクのこと女だと思ってたんだね…」
悲しさを乗せた声が
俺の耳に届く
「だって…かずちゃんいつもスカート…」
「それは…姉ちゃんのお古着せられてただけ…」
くるり、と背中を見せて
ベッド下にあるシャツを拾っていく
儚げで寂しそうなその背中…
昔のかずちゃんの姿が重なる
共働きの両親がいつもいなくて
寂しそうにしていたあの頃の姿_…
寂しいって言えなくて
一人で我慢して無理して笑ってた…
その笑顔がものすごく綺麗で
たまらなくて
…今もきっと、そんな顔…してるよね?
「男のボクなんて嫌…だよね?
だいじょぶ…もう、忘れて?」
「ま、待って!」
身なりを整えて鞄を持つ体を引き留める
「離せよ…っ!」
暴れて抵抗する体を抱きしめて
腕の中でくりん、て回すと白い頬に
何本もの雫の跡があって
それを消すように
キスの雨を降らせた
見開いた眼はゆっくり閉じて
雫の跡が消えるころには
腕の中のかずちゃんは抵抗もなく
頬に少し色を乗せていた