第25章 ♡のQueenは♢もお好き
「ど、どうぞ…」
「お邪魔しま~す…」
玄関を開けながら自宅へ、なんて言ってしまった数分前の俺を少し呪いたくなった
お世辞にも綺麗じゃないアパート
結構の築年数の部屋
そこに通したら明らか、金ないっつってるようなもの
ええい、もうどうにでもなれっ
半ばやけくそに部屋に入る
部屋を見渡すかずちゃんに座布団を差し出すと
「彼女…にやってもらってる、とか?」
「え…?彼女なんていないよ…?」
「だって…やけに綺麗じゃん……」
頬をちょっと膨らませて
潤んだ瞳で上目遣いとか…
勘違いしてもいいんかな…
ドギマギを誤魔化してキッチンに向かう
「ごめんね、すぐ作るからね?」
「ボクも手伝うよっ」
「だいじょぶ、かずちゃんは座っててっ」
慌ててこちらに来ようとするかずちゃんに
柔らかく静止すると渋々腰掛けてる姿が見えて
「本でもよかったら読んでて?」
「う…ん…わかったぁ……」
遠慮がちにしてるかずちゃん、可愛いなぁ♡
潤と翔に抜け駆けしたみたいで悪い気はしたけど、
偶然会ったんだし…別にいいよな
段ボールに詰め込まれてる野菜たちを取り出して水で土を落とす
ばぁちゃんの野菜、うまいんだよな〜
かずちゃんも喜んでくれるかなっ
野菜をカットして炒めて
あ…肉がない…ウインナーで代用すっか
炒めた野菜に水を張ってグツグツ煮込む
灰汁を取って、ルゥを放り込んで…
ふんふん、と軽く鼻歌が自然と出てきた時
「あ、みぃつけた♪」
やけに嬉しそうに言うかずちゃんの方を見ると
見られたくないものがその手にあった