第25章 ♡のQueenは♢もお好き
地面だけ映ってた視界に
スニーカーが映りこんでくる
なんで俺の前で止まるんだよ…俺邪魔なのか?
それか見てたこと咎められる…?
「…さとぼ〜?」
罵倒されるかと身構えていたところに
懐かしい言葉が降ってきて
「……かず…ちゃん?」
呼応反応で出た言葉に顔を上げると
にっこりと微笑んだ
「やっぱり!さとぼ〜だ!
相変わらずぼ〜っとした顔w
ボクのこと覚えてる?」
覚えてるよ…
その呼び方、かずちゃんしかしなかったし。
すげぇ偶然…
首を傾げて微笑む姿に
昔の姿が重なる
「あ…顔…」
指摘するとふいって顔を背けられた
頬の不自然な赤さにさっきの光景が思い出される
なんでかずちゃんが殴られてたんだろう…
男に、あんな形で…
「かずちゃん、あの…」
ぐぅぅ~…
言葉を続けようとした俺の空気を読まない腹の虫が鳴ると、目線を外してたかずちゃんが俺を見て微笑んだ
「ふふ…さとぼ~、お腹すいてるんだ?」
「空いてる…」
昼飯も食べずに描いてたから鳴って当然なんだけど、恥ずかしいったらない
「よかったら今からご飯行かない?」
「あ…うん…で、でも…」
かずちゃんの優しい言葉に顔を上げたけど
昨日の飲みで財布の中、ほとんどお金入ってないことを思い出して慌てる
「どうしたの?」
「ご飯も炊いてきちゃってて…
良かったら俺んちで食べない?」