第25章 ♡のQueenは♢もお好き
勢いに任せて描き続ける俺の前をカップルたちが何組も通り過ぎていく
おーおー…
恥ずかしげもなく腰抱いてイチャイチャ…
肩抱いてイチャイチャ……
噴水奥のベンチに彼女の脚撫でてるやつまでいやがる
やらしい男をじっとりと睨みつけると
俺に哀れみのような視線を送ってくる
俺だってなぁ…っ!
恋人…はいねぇけど…
俺だって好きなやつ、くらい…
好き…な………やつ…
そうだ、かずちゃんとの時間を作るためにこうしているのに手を止めてたら意味がない
もし週末の飲み会行けなかったら…
チャンスを逃すどころじゃない、
かずちゃんを掻っ攫われる…!
慌て始めて止まってた手をまた動かし始めた
苦手意識しかなかった風景画が
真っ白なキャンバスに広がっていく
抽象画と違って見たまんま書いたらいいんだから
簡単っちゃ簡単だよなぁ…
創作意欲は生まれないけど。
先の丸くなったハイユニ
新しいものを手にとって最後の仕上げにかかる
「っはぁ〜…やっと、出来た…」
高い位置にいた太陽が沈みかける頃、
ようやく下書きがほぼ終わって
座りっぱなしでガチガチの体を解そうと立ち上がる