第25章 ♡のQueenは♢もお好き
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「…頭いてぇ…」
春の暖かな陽気な中、賑わう公園の入り口で立つ俺は二日酔いの気怠さで疲れ果てていた
潤のやつ…ババ抜きも飲みも
手加減ってもんしらねーよな…
かずちゃんと再会するため、重い足を前へと進める
ピクニックをしてる家族は想像してたけど
その姿は見当たらなくて
……カップル、多いなぁ…
自宅近くにこんな公園あったなんて。
引っ越してきて結構経つのに知らなかった
大学と自宅の往復しかしてなかったもんな〜
目的のものを探しながら進む
桜のピンクや芝生の緑が色鮮やかで
気乗りしてなかった気持ちがどんどん上がってくる
進む速度も自然と上がって道なりに進むと
ひらけた場所にでっかい噴水が見えてきた
「ここにしよっか…な……」
特にカップルの多いこの場所にイーゼルを立てることを一瞬迷う
でもここが一番綺麗だしなぁ…
四方から突き刺さる視線を無視して
意を決してそのままセットした
戸惑いやら鬱陶しいやらの
視線がまた俺に向かってくる
「こう見えても美大生なんだっつーの…」
視線を送ってくる人達に
ボソリと呟きながらイーゼルにキャンバスを置いた
さっさと描いちまおう
簡易椅子に腰掛けて
キャンバスに鉛筆を走らせた