第25章 ♡のQueenは♢もお好き
「いいの?やめても」
「…え?」
「来週、会おうって連絡きたんだけど?」
「それを早くいえよ!」
「言おうと思ってたら智が変なニヤケ面したんだろーがよ」
少し下に向いた気分が上を向く
条件では負けるかもしれないけど、愛はほかの誰よりもあるんだ
あの頃から変わらないかずちゃんへの気持ちを伝えたら俺だって、ワンチャンあるはず
「来週の日曜っつってたけど、智その日行ける?」
「来週…」
弾む気持ちでスマホのスケジュールアプリを開く
「…智?」
「…課題しあげなきゃなんね~の忘れてた…」
「…まじか…」
潤がツマミを食べながら言ってるのを聞きながら画面を見つめる
普段なら時間に追われてたりしてないのに、なんでこんな時に…
天国から地獄へ突き落とされたような絶望を感じた
「いつも課題とかさっさとやってなかった?」
「今回の、苦手ジャンルでさ」
「もしかして、風景画?」
「…そう……」
「昔っから苦手だったもんな」
小さな頃から絵を描くのは好きだったけど、風景画だけは唆られなくて
今回の課題もそれで引き延ばしに延ばしてたから今回こそは出さないと単位落ちる可能性まである