第25章 ♡のQueenは♢もお好き
喉を潤す程度に
ビールを流し込んで
突き出しの枝豆に手を伸ばした時
「智…カズのこと覚えてる?」
ぷはぁ、と感嘆の息を吐いたあと
潤が嬉しそうに頬を緩ませ語り出した
「もちろん!」
「日本に今いるってさ」
「え!嘘、帰ってきたの!?」
「らしい。俺も翔から聞いて知ったんだけどさ」
まじで…?
さっきのはこれの知らせだったのか!
「何ニヤついてんだよ?」
「かずちゃんのウェディングドレス、
想像してたんだから許せよ…」
懐かしい記憶は潤も思い出したようで
「隣にいるの、もしかして自分だと思ってる?」
「そうだけど?」
「…それはないだろ」
ふわふわ夢見心地の俺に、
冷たく言い捨てた潤にイラっとくる
「なんで俺じゃないっつーんだよ!」
「だって、さ…」
「だって、なんだよ!?」
一瞬、目線が天を仰いだ後
「智、金ないじゃん」
「…ぐ。」
さらっと放った潤の言葉が突き刺さって黙る
「その点、俺は第1段階クリアだな♪」
大学生で仕送り生活してる俺とは違い、
潤は一流モデル、翔は会社社長…
同じ年なのになんでこんなに差がついたんだ…
「もういい、かずちゃんの話…やめよう」
胸の奥がチクリとして。
話題を変えようと次の言葉を発する前に潤が口を開いた