第25章 ♡のQueenは♢もお好き
「智!お疲れ!」
俺を見るなり笑う潤の前に腰掛ける
並びで住んでるから小、中もずっと一緒で
離れ離れになった高校から
月一で行なっている男子会
ファミレスから居酒屋に変わったけど
他は何も変わらない
「あれ、翔は?」
「取引先との急な飲み入ったってさ」
タイミングよく来てくれた店員さんから
アツアツのおしぼりを貰って手を拭く
「あ…あなたは……!」
営業スマイルの店員さんが
潤の顔を見るなり笑顔がさらに咲いた
「モデルの松本潤さん、ですよね?
俺大ファンなんです…っ」
差し出された手にスマートな握手を交わしてる
「嬉しい!ありがとうございますっ」
「どういたしまして♡
ついでにこれよかったら…」
胸ポケットから取り出した紙切れに
ペンを走らせてそれを渡された店員さんは
さらに頬を緩ませて顔を赤らめた
「お、お飲み物!ビールでよろしいですか?」
「あ、うん…」
捲くし立てるように聞いた店員さんは
足取り軽やかに個室を後にしていった
「さっき何渡してたんだよ?」
「LINEのIDだけど?」
「お前相変わらずだな…」
「どういたしまして♪」
「誉めてねーよ…
男女関係なく口説くなよな…」
さっきの店員さん
男にしちゃ、美人さんだったけどさ
「俺は博愛主義者なんでね♪」
「良いように言うな!
ただのヤリチンのくせに!」
言い合いしてたら訝しげな表情をした
別の店員さんがジョッキを届けてくれて
「ま、とにかく。乾杯しようぜ?」
「……乾杯」
眉を下げる潤にジョッキを突き出して
二人して喉を潤した