第25章 ♡のQueenは♢もお好き
「……ゆめ…?」
ぼやっとした意識の中
ついさっき頭の中で再生されたものを思い返す
懐かしい…
もう15年前もの約束…
俺ん家の左隣がかずちゃんの家、
その隣が翔の家、
そしてその隣が潤の家で
親が仲良かったこともあって
俺たちはすぐに仲良くなった
春の温かな日は翔の家でサッカーして
夏の気持ちのいい時は潤の家でバーベキューして
寒くなると俺の家か、かずちゃんの家でゲームして…
ずっとずっと
一緒にいるんだろうな、なんて
ちっさいながらにそう思ってたけど
小学校上がる前に突然別れは訪れた
親父さんの海外出張が急に決まって
別れの日交わしたあの約束はまだ果たされぬまま…
俺の初恋の人は今、どこで何をしてるんだろ…
久々に見た淡い思い出の
余韻に浸りたくて
再び暗闇の世界に落ちようとした時
けたたましく鳴るアラーム音
「やっべ…もう行かなきゃ…」
飛び起きて
タンクトップ一枚の肌に
シャツを羽織る
履き潰したスニーカーに足を突っ込んで
アパートを後にした