第24章 愛し、愛され
- 櫻井 side -
『もう…翔くんはっきり伝えてあげなよ?』
揶揄う松潤に文句の1つも言いたくなるけど
食べてしまったものは仕方ない
「これ…媚薬……」
「えぇっ!!」
小声で言った言葉はきちんと智くんに届いた
ecstasy…読めるかと思ってたよ……
包み紙をクシャって握り潰して
ベッド横のゴミ箱に捨てる
智くんは何かを考えてるのか俯いていた
『2人とも今日と明日、休みでしょ?
ゆっくり楽しんで♡
30分程で効いてくるらしいから♡
あ、あと副作用なんてないから安心してね♡じゃ』
松潤の早口が途切れたあと、画面は真っ黒になった
松潤…おせっかいにもほどがあるぞ……
しばらく、寝室に沈黙が流れる
さっきまでの賑やかさが嘘のように静まり返ってる中、智くんが口を開いた
「翔くん…翔くんは、どうしたい?」
「え、と…」
「俺は、シたい…
昨日のこと、全然…覚えてないから…」
言い終える前、
嘘偽りのない瞳が真っ直ぐ俺を見つめた
「また薬でさ…
わけわかんなくなっちゃうかもしれないから…
そうなる前にちゃんと…
愛したい…翔くんのこと」
正直に言ってくれた言葉
その答えに、ノーなんて言うわけないよ
ムギュって愛しい彼を抱きしめると
シーツにゆっくり沈められた
「っ、さ、と…っ」
優しい、丁寧なキスが降り注がれる
唇に触れたあと
額、頬、耳…とじわじわ広がっていく智くんの愛
くすぐったさと嬉しさに心が温かくなる
「しょ、く…好き…大好き…」
「俺も、好き…」
正直になって、って…もっと早く言えよな俺…
それだけで済んだ話じゃねーか…
まぁ、昨日は昨日でありだったけど…
やっぱり、いつもの智くんに愛されることがいちばん…
いちばん、好き……
「翔くん?何か可笑しいことあった…?」
「ううん、なにも」
緩み切った俺の顔、そんなにおかしかったかな
不思議に見つめる智くんの唇にひとつキスをして
智くんのトレーナーに手を掛けた