第24章 愛し、愛され
寝起きのぼんやり翔くんは
スピーカーから漏れた松潤の声のとおり
キャンディをコロコロと口の中で転がしてる
俺も言われたとおり、
じっくり口の中でキャンディを溶かす
も〜…副作用のあるものとか…
ほんのちょっとだけ不満を感じたけど
まぁこれで大丈夫なら、いっか……
口の中のものに集中すると
ぼやけてた味がはっきりしてくる
ほのかに甘くって
でもちょっと酸っぱさも感じて。
なんだっけ?この味…
うーん?
コロコロして口の中の味をどんどん濃くしていく
…チェリー…?
うん、そうだ…
甘酸っぱいこれってさ
クリームとかバニラアイスとか
相性いいんだよな〜…
味に連想されて
頭の中にクリームたっぷりのパフェが浮かぶ
パフェ、食いたくなってきた…
また相葉ちゃんとスイーツ部活動しよっと。
それにしてもこのキャンディ美味いなぁ…
包み紙を開けて二個目を口に放り込む
…うん、味さらに濃くなって美味い♪
「ね、智くん?これ、なんなの?」
やっと意識がはっきりしてきたのかな?
ベッドに横たわったまま訊ねられる
翔くんの頬の膨らみはだいぶ小さくなってた
「ワインに入れた薬の解毒薬だって」
「解毒っ⁉︎」
「副作用?を無くすのに舐めなきゃダメなんだって」
「…ふぅん?そうなの??」
不思議そうにしながらも舐める翔くんの横に
俺も体を横たえた
時間を掛けて舐めてると大玉のキャンディは
一個目も二個目も小さくなってきて
「まつじゅ〜ん…
ちっさくなったから
もう噛んでもいい?」
俺たちの間にあるスマホに問いかける
『ダメ〜じっくり時間をかけて
体に浸透させなきゃいけないって
書いてあるから』
…そんなもんなのか?
噛みたくなるムズムズを我慢してると
むくりと翔くんが上半身を起こした
俺の左側をじっと見てる…?
翔くんの視線の方を向くと
放置してた……松潤卑猥袋(俺命名)
忘れてたっ!!
「!わ、わーっ!」
慌てて起き上がり体で隠す
…けど時すでに遅かったみたいで
「……智くん?隠したのは、何?」
低めのトーンで静かに言う翔くんの方を向くことが出来ない
タイミング見計らって言おうと思ってたのにぃ…
でも誤魔化しちゃうとまたこじらせちゃうかも
腕の中の袋をぎゅって抱きしめて
ゆっくり振り返った