第24章 愛し、愛され
「後輩達はまた後日ってことで帰ってもらったよ」
不思議で周りを見渡してる俺に、松潤の優しい声色が響く
松潤にまで…気を遣わせちゃったな…
……申し訳ない
気持ちと同じように肩が少し落ちた
「ま、こうでもしないと?
大野さんも素直になれないみたいだし、ね」
…どういうこと?
見つめた濃い顔は少し呆れ顔で微笑んでる
「ほら、おじさん…いい加減気取るのやめなさいよ」
ニノの言葉が後ろから聞こえて
少しの間をおいて
背後から包み込むように抱きしめられた
大好きな人の香りと共に広がる温もり
今度は嬉しさで目にじわって、また溢れてきた
「ごめん、翔くん…」
溢れるものを手で擦り続けると
緩かった腕の力がぎゅって込められて
「…俺、翔くんが大好きだから…
翔くんを大事にしたい、って…思ってて」
…うん、知ってるよ
智くんが俺のこと大事にしてくれてること
痛いほど、よく…
お腹の前で重なる智くんの手に触れる
「でも、俺の独りよがりだった」
触れた拳に力がこもった
「ニノから全部、聞いた…。
翔くんの気持ち無視して…ごめん」
じわぁ、って勢いよく溢れた涙が1つ、2つ…
立て続けに落ちた
「本当に…いい歳した人達が何やってんだか」
「まぁまぁ。おーちゃんなりの優しさと、
翔ちゃんもおーちゃんの優しさをわかってるから
生まれたすれ違い、でしょ?」
「そうですけど」
「ほら、仲直りの乾杯…したら?」
斗真がワイングラスを手に持たせてくれて
空いた手で涙を拭う
智くんに向き合うと
さっきまでの硬い表情はもうなくて
いつもの柔らかくて優しい笑顔になってた
「…翔くん、お誕生日おめでとう」
「ありがとう…」
合わせたグラスは綺麗な音を奏でて
ワインを飲む智くんに続いてゆっくり流し込む
さっき乾杯したワインより、何倍も美味しく感じた
…俺って、意外と単純…
「どうしたの、翔くん…?」
「ごめ…このワインが…一番美味しいなって」
くすくす、笑いが込み上げる
「さっきのワインと同じだけど…?」
「…ん、そうだよね、ふふ、ふふふ…」
込み上げる笑いが止められなくて
笑う俺を中心にみんなが集まる
智くんも優しく頭を撫でてくれて
嬉しくなって愛しい人に抱きついた
みんなの前だから慌てる智くんが可愛くて
また愛おしさが増した