第24章 愛し、愛され
結局どうするかなんて決められず
コーヒーを啜ってたらマネージャーが迎えにきた
車内で相変わらずスマホをいじってる智くんを
横目に少し睨む
「何、翔くん?」
「誰と何やりとりしてんのかなーって」
「…侑李だよ、また飯連れてけってさ」
チラッてこっちを見てすぐスマホに視線を戻す
マネージャーの前でのこの行動も
いつもなら普通に受け入れられるのに
今日はやけに他人行儀に感じて少し寂しくなる
ガラス越しの景色を見つめるけど
代わり映えのないものを見るのも疲れて
進行方向へ顔を戻して目を閉じた
「着きました」
マネージャーの一声で
さっさと車を降りる智くん
続いてあとをゆっくりついていく
エレベーターに乗り込むと
マネージャーの背中を見てた俺の右手に
柔らかくて温かい感触
「今だけ、ね」
顔を見つめると小さく言ってふにゃんと笑う
ずっと繋いでたいな
ぎゅって握り返したら扉が開いて
温もりが離れた
前へと進む智くんの背中を見つめながら
着いた楽屋はまだ、俺たちしかいなかった
またスマホをいじりだした智くん
その向かいに腰掛けて新聞紙を広げる
これが智くんの通常運転なの知ってるけど。
楽屋だけど、2人きりだよ?
さっきの続き…欲しいな
「おはよ〜♡」
「はよっす」
「おは…って、相変わらずだね、2人とも」
隣へ行こうかと腰を上げた時
楽屋の扉が開かれて現れたニノと相葉くん
いつも通り、ガッチリ恋人繋ぎして入ってきた
もう見慣れた光景だけど、今はかなり羨ましく感じる
浮かした腰をゆっくり下ろす
智くんはスマホから顔を上げない
「潤くんは?まだ?」
「そうみたい」
空いた椅子に2人で腰掛けてマスクを外すと
発動したイチャイチャタイム
「ね、ニノぉ〜…」
「まじ?」
「…マジ」
「…隣、行くか」
手をぎゅって強く絡めて2人が立ち上がる
「翔ちゃん、潤くん来たら…」
「…適当に言っとく」
「ありがと、翔ちゃん♡」
出来てないウィンクを投げかけて
2人は隣の普段使わない楽屋へ向かう
相葉くんが羨ましい
ニノにお願いしたらちゃんと
甘やかしてくれてるんだもん
楽屋が静まり返ると聞こえてくる
甘い、甘い…声
『ぁ…ニノぉ…っ、んぁ』
『ばか、声抑えろっ』
智くんも聞こえてるでしょ?
スマホ見てないで俺を見てよ
ため息が漏れた