• テキストサイズ

台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第23章 君がいいんだ




うー…緊張するっ……

全面鏡の前で僕の顔はものすごいひきつってた

今日は、智くんのお父さんの退院日

外で落ち合って、話し合うことになってる

慣れないジャケット姿に違和感を感じながら
引きつる頬を強めに両手で叩く

怖気付いちゃダメだっ…
頑張るんだ、僕っっ!

「雅紀さん?そろそろ、行こう?」

ダイニングからの智くんの声に慌てて髪の毛を手櫛で整えて向かう

「似合ってる、ジャケット…」
《かっこいい♡》

襟元を綺麗に整えてにっこり笑う優しさに少しだけ緊張がほぐれた

「い、いこっか…智くん」

大きく息を吸って心臓を落ち着けて部屋を出た

待ち合わせは駅前の喫茶店

ここから10分ほどの所だから落ち着く間も無く着いてしまいそうだ

「はぁ、大丈夫かなぁ…」
「大丈夫だって!僕も、説得するから!」

力なく歩く僕の腕にしがみついて見上げる智くんは意外と余裕そうな表情をしていた

僕は…そんなに落ち着けないよ…

結局、喫茶店に着くまで落ち着きは取り戻せなかった

ここに、さ、智くんのお父さんが…

完全初対面に鼓動は最高潮

心臓飛び出しそうだよぉ…

手汗びっしょりの手をズボンでゴシゴシ拭いて

「さ、智くんっ!行くよ…っ」
「うんっ」

カラン、とベルの音を鳴らして店内に入る

こじんまりした喫茶店には初老のマスターと1人だけの客

客の男性は僕たちを見るなり手招きした

あ、あれがお父さん…っ

いかにも頑固そうな面持ちのお父さんの前に行く

ヤバイ、ヤバイヤバイ…心臓痛いよぉ…

「…座りなさい」

頭を軽く下げて向かいに2人で並んで座る
マスターにホットを2つ注文するとお父さんの低い声が僕に向けられた

「君が、相葉雅紀くんかね?」
「はいっ!」

緊張で声高くなっちゃった

まっすぐ見つめられたまましばらく沈黙が流れる

「お、お父さん!智くんを僕にくださいっっ!」

沈黙に耐えかねて、思い切って切り出した

ぴくり、と眉毛だけ動く

怖いけど、ちゃんと向き合うんだ…!
腿の上で両手に力を込める

「それは結婚の申し込みかね?智は、男の子だが?」
「わかってます!結婚…できないけど!
それくらい、僕は智くんを愛しています!
だから……!僕たちのこと、
認めて下さい!お願いしますっ」
「僕も!お願いします!」

2人で力強く頭を下げた


/ 474ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp