第23章 君がいいんだ
腕の痺れで意識が少し戻る
カーテンの隙間からは日光が差し込んでいた
腕の中で体を丸めて眠る愛しい人を見て再び目を閉じた
眠りに落ちかけはじめたとき遠くで何かの音
気のせい…だよな
どたどたどた…
ばんっ!
「智くんっ!」
「え、えぇっ!?」
急に響く大きな声に飛び上がった
声の方を見るとおばさんが立ってて
な、なんで来たの!?
「…あ、あんたたち…」
慌てる僕をジロジロ見てほくそ笑む
「なぁに…どうしたの…?」
「智くん起きたのっ!?」
「ついにヤったね…」
「わ、え、こ、これはっ…」
丸見えだった体を慌てて頭まで布団で隠す
「お赤飯炊かなきゃねぇ♡」
おばさんの大きな笑い声の中、
僕たちはベッドで丸くなるしかなかった
「…で、おばちゃん…朝からどうしたの…?」
なんとか服を着た僕たち
昨日食べ忘れてたケーキを切り分けて
テーブルにコーヒーと並べる
僕の隣に腰掛けた智くんの顔はまだ赤い
僕も赤いんだろうな、まだ顔が熱い…
おばさんに渡してあるスペアキー
返してもらおうかな、もぉ/////
「これ、届いたの」
笑みを残しながらケーキを頬張るおばさんは
白い封筒を僕たちの間に置いた
「お父さん、退院するって」
慌てて中身を確認する智くんは文面をざっと読むと
安堵の笑みを浮かべた
「良かったね、智くん」
「…うん…でも…」
「?」
「そうなったら僕…家、戻らないといけないかな…」
喜びで上がった肩が少し緩やかに撫でた
そうだよね…お父さん帰ってくるなら、仕方ないよね
「別にいいんじゃない?同棲のこと、伝えてあるし」
「「ええっ!?」」
「当たり前でしょ…言ってないと思ってたの?」
普通に考えたら、そっか…
「…父さん怒ってないかな」
「怒ってないわよ〜」
「でも…頭固い人だから…」
「じゃあ!ちゃんとご挨拶に行こう!」
慌てる智くんの手を握ると目をぱちくりさせてる
「そうしなさい、ちゃんとすれば怒らないわよ」
コーヒーを飲み終えるとおばさんはあっさり帰っていった
「いいの?本当に…」
「もちろん!」
不安げに見つめてた智くんは破顔して抱きついてきた
「誠心誠意、伝える…一緒に居たいって」
「僕もずっと、一緒に居たい!」
《大好きっ》
「僕も大好き♡」
ぎゅって強く抱き合った