第23章 君がいいんだ
ついに来た、12月24日…
智くんを迎えに行くと塀の前に立つ姿が見えた
見慣れた制服姿とは違い
キャメルのダッフルコートに
スキニージーンズ
腕に細長い紙袋を下げて
手にはぁって息を掛けてる姿が可愛らしくて
瞬間湯沸かし器みたいに顔が熱くなった
初めてのデート、だもんね…
は、初めてのデートが家ってどうなんだ!?
やばい、改めて思うとかなり恥ずかしい…
「雅紀さ〜んっ」
わたわた慌てる僕をよそに
気づいた智くんが小走りに駆けて来る
「あれ?雅紀さん風邪?顔赤いよ?」
下から覗き込む可愛い目にやられそう…
「いや、ちょっと暑いなーって…」
「今日気温2度だけど…?」
「着込みすぎたの〜っ」
目を逸らして自宅へと向かう
ぷらぷらの手に冷たいのが重なって
「ホントだ、あったかい〜」
僕の手を握る智くんが可愛くて
また僕自身に熱がこもったような気がした
「雅紀さん?」
「…ん、何?」
《…大好き♡》
まっすぐ前を見て進む僕にどストレートな愛の告白
もぉ、やばい…
熱出てぶっ倒れるかも…
恥ずかしがったり大胆だったり…
智くん…君、可愛すぎるって……
爆発しそうな心臓を
なんとか押し沈めて家に着いた
「お邪魔しま〜す…」
僕の家に上がるとき
そわそわしながらそういう智くんが可愛くて
「わ、笑わないでよ…」
笑った僕を智くんが少し睨みながら強めに叩いてくる
《雅紀さんち、ドキドキする…》
睨みつけても無駄だよ…
すごく可愛い声が丸聞こえだから
それに気づいたのか
慌てて僕の腕を掴んでた手を離して
二階へと上がって〝Masaki〟のプレートが掛かる部屋に入っていった
「あ、雅だっ」
後から入るとお出迎えしていた雅をぎゅってしてる
「雅だけね、特別ゲストとして呼んだの」
「ゲスト…?」
「だって、僕たちの間を取り持ってくれたんだから」
僕の言葉にワンッと一吠えして
しっぽを振る雅を真ん中にしてラグに腰掛けた
胡座の中心に雅が滑り込んできて体を預けるように伏せて
《俺を呼ぶのは当たり前だろ〜?
二人ともうじうじしてなきゃとっくに
番いになってるはずなのによぉ…》
聞こえた声にまた僕の顔が熱くなった