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台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第23章 君がいいんだ




時が止まったように
静まり返った部屋

息が詰まりそうになる雰囲気の中

誤魔化す?
どう誤魔化す?
誤魔化せるのか?

正直に話す?
話してまた拒絶されたら?
どうしたら…?
どうしたらいいんだ…

ぐるぐると頭の中で
いろんなことを考えてたら
明るい声が部屋の沈黙を破った

「すごい!すごいすごい!!」

声を上げた智くんが
目の前に滑り込むように座って
雅と僕を交互に見た

「会話してたよね?ね?」
「う、うん…」
「すごいっ…いいなぁ、僕も話したいっ」

呆気にとられる僕の腕を掴んで
はしゃぐ智くんの心の声は
言葉と同じで弾んでて
そして、純粋で

瞬間、悩んでたはずの思考はどっかへいって

初めてみる反応をした智くんに
僕は本当のことを話していた

僕の話を静かに聞く智くんは
紙芝居を聞く子供のように目を輝かせていて

僕が話し終えると

「すごいね、そのチカラ…。特別な人みたいだ」

息をはくように自然と漏らしたその言葉に

さっき感じたもやもやしたものが
明確なものになって僕の中で大きくなっていく

こんなにも、心が広くて綺麗な人がいたなんて…
智くん、君のこともっと知りたい…

雅を愛おしそうに見る智くんを
見つめながらそう思っていた



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