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台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第23章 君がいいんだ




「…はぁ」
《雅紀〜》

昨日なんであんなこと…
絶対変に思ったよね…

《おーい?》

僕もよくわかんないもん
なんで可愛いなんて…

《まーさぁーきぃーー!》
「え、あ、は、はい!?」
《もう掃く必要ない…》
「……ほんとだ」

いつもの部屋掃除
ぼーっと掃いてたらもうゴミひとつなくて

呆れながら僕を見上げる雅の頭を撫でる

《今朝から変だよ?》
「だってさぁ〜…」
《智のこと?》
「……うん」

あの発言のあと
ピノを食べる智くんは
俯いたままで表情が読めなくて…

「絶対変に思われたよぉ…」
《そんなことないって》
「そう、かなぁ…」
《それにさ?
別に気にしなくてもいいんじゃない?
もう会わないだろうし》

もう会わない…
うん、そうだよ
服、返さなくていいって言ったし…
もう…会わない、よね

胸の奥が少しチクリとするのは…なぜだろう

《それより、散歩はっ?》

飛びついて散歩アピールをする雅
リードをつけて施設から出た時

《…あ》
「あ??」
《…智だ》
「あ…」

小さく頭を下げて僕たちを見る
智くんがいた






「これ…ありがとうございました」

仮眠室で差し出された紙袋
中には綺麗に畳まれた服が入ってて

「わざわざ持ってきてくれたの?
別に良かったのに…」

あれ、これは…

服の下にはビニール袋

「あの…晩御飯の残りなんですけど。
良かったら…」

袋の中のタッパーには
大きな具の肉じゃがが入ってた

「口に合うといいんですけど…」

少し戸惑うけど
せっかく持ってきてくれたんだし…

「美味しそう…頂きます」

ごろごろしたじゃがいもを摘んで口に運ぶ

僕の様子を伺いながら
心配そうに見つめる智くんの肉じゃがは
ほんのり甘めの優しい味で

「…美味しい」

率直な感想に昨日と同じ
綺麗な笑顔に変わって

「あ、あの!」

前のめりになって急に詰め寄られた距離
少し気圧されたあと、まさかの言葉が聞こえた


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