第22章 お山夫婦の1日
ふと横を向いたら
バチっと翔くんと視線があって
にこぉって遠慮がちに笑う
……はぁ……可愛い♡
付き合い始めてまだ間もない俺達
2人が一緒の1日休みなんてそうそうないのに
しばらく行ってなかった釣りにどうしても行きたくて
翔くんに釣りに行ってくるねって言ったらまさかの「俺も行く!」宣言に少し悪い気もしたけど思いのほか、楽しんでくれてそうだ
目の前の笑顔がそう物語っていた
笑顔に向けて手を振ってアピールすると
手を振り返してくれて
2人きりの世界を満喫してたら急に来た揺れ
揺れに慣れていない翔くんの体が少しふらつく
慌てて手を伸ばしてイロチのウィンドブレーカーを掴んだ
「あ、ありがと智くん……」
下から覗き込むように俺を覗き込む翔くんの顔は服と同じ真っ赤っかで
「…ちょ、ちょっと!ダメだよっ…」
引き寄せられるように近付けた唇をやんわり手のひらで止められた
忘れてた
ココ外だし
船長とか友達とか
みんないるんだった( ̄▽ ̄;)
キョロキョロっと周りを見回してると
頬に柔らかい感触
「…今は、これで我慢してね?」
触れたのは翔くんの唇で
触れたそれを見つめると
小さな声でそう言ってそわそわしながら離れて行く
あー…もう可愛すぎる…っ
愛しい翔くんにもっと触れたくなったけど
「ほら、智くん!釣りしようよっ!」
少し離れた先で翔くんがまた海に竿を振った
せっかく俺の希望の釣りに付き合ってくれてるんだしまずはそれを楽しまなきゃな…
「もし大きいアタリ来たら教えてね!」
「了解〜!」
翔くんに一言声かけて、おおきく振りかぶって竿を振った