第19章 『あなたに夢中』
- 二宮 side -
俺との距離を取る潤くんに苛立って
「俺のこと、本当に好きなの…?」
普段の俺なら口にしないであろう言葉が俺の口からついて出た
言葉を投げかけた相手は瞬間的に放った俺の言葉にポカンとしてて
それは肯定とも取れる態度に見えて…
好きだって、確かめ合ったのに…………酷いよ…
期待して、色々頑張って…俺1人が空回りしてるみたいで虚しい…
足をお湯から上げて部屋に戻ろうとする
「カ、カズ…待って!」
「離してよっ…」
「いやだ、離さない…」
手首を掴まれて動けない
「なんで…なんでだよ?俺のこと嫌なんでしょ?冷静になったら嫌になったんでしょっ!?いいよ、それならそれでっ!今まで通りの仕事仲間に戻ってやるよ!だから離せ………っ、……!!」
振り返らずに話していた俺の体が反転させられて、濡れた体が俺をキツく抱きしめた
「ごめん、違うんだ…そうじゃ、ないよ…」
そのまま時間が止まってしまったかのように言葉も、何も発さない静かな中、湧き上がる源泉の音と風の音がする
「…潤くん……部屋、入ろう」
夜風が冷たく感じたから、そう一言だけ俺から提案して先に部屋に戻った
間を置いて、潤くんも戻ってきて
料理は片付けられていて、代わりに2つの布団が敷かれていた
1つに腰掛けて言葉を待つと、正面に座った潤くんが話し始めた